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・高い障害物
高い障害物とは、R-oneの最大pitch角で上昇しても回避できない障害物を指す。この回避には、障害物の壁面に接触しないようにメインスラスターを利用して障害物との距離を保ちつつ、垂直スラスターを利用して垂直方向に移動する。
・天井がある地形
Fig-5に示すように、高い障害物の特殊な場合で、上方に大きな出っ張りがある物を指す。ただし、鍾乳石のような下に突出した障害物はないものとする。この障害物は、後進を行って回避する。ここでは、障害物との距離を保つ制御を、上方のソナーに適用し、メインスラスターを利用して後進することにする。
・島(海面まで届いている障害物)
島の回避は、上下方向の移動では不可能である。そこで、水平方向の移動が必要となる。しかし、あまり大きな旋回は危険なので、メインスラスターとラダーの連動で、あまり水平位置の移動をしないで、方位の変更をできるようなControl Moduleを作成する。
(3)姿勢制御に必要なControl Module
ハードウェアの特性より、roll角とpitch角を制御が必要となる。

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Fig-5. Cavity Avoidance

4−3.構築したControl Module
前節で必要とされたControl Moduleを構築した。これらのControl ModuleとそのControl Moduleへの入力、利用目的などをTable−1にまとめて示す。

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Table-1. Control Modules in This System

4−4.Control Moduleの選択方法
構築したControl Moduleは、ミッションの進行と状況によって選択される。またハードウェアの構成より、障害物の回避には、まず垂直方向の移動から行うことにし、それでも不可能な場合は水平方向の移動を行うことにする。ミッションの進行としては、ミッション全体を「開始」「潜航」「観測」「浮上」「終了」の5つの段階に分け、それぞれの段階でのR-oneの状況に依存して、利用するControl Moduleをシステム内に記述するようにする。そしてミッションの段階は、外部環境やR-oneシステムの内部状況により進行させていく。ミッション中、特に「観測」については、海底付近での航行になるため、複雑な構成になっている。「観測」での行動は、通常は定高度航行をおこない、障害物が発見されたときは、その回避を行う。「観測」では行動を管理するために、Actionという変数を用いる。Actionは、とるべき行動を示す変数であり、R-oneの状態、ソナーの値および前のactionの値より決定する。
Actionは、VERTICAL ASCEND, DIRECTION FINDING, CREEP, STEEP CLIMB, CLIMB, RECOVER BALANCE, TERRAIN FOLLOWINGの7つの状態を取りうる。Actionの決定方法は、Fig-6に示すようにした。まず、状態の数だけフラグを用意し、それぞれの状態になりうる条件を一定間隔毎に調べ、その条件に合った物は対応するフラグを1にする。そして、全て状態に対する条件を調べ終わったら、その中で最も優先度の高い物を実行するようになっている。また条件が合った場合、他の行動を禁止する(すなわちフラグを0にする)actionもある。以下、actionの値によってとる行動の説明をする。
(1)DIRECTION FINDING
[目的]島を回避する為の移動方向を探す。
[行動]前方探査ソナーの値を見つつ、Move Around Controllerを利用してR-oneを回頭させる。この間、正面の障害物との距離が近くなった場合(15m以下)には、

 

 

 

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